無人航空機の型式認証・機体認証にかかる制度の背景・目的

 ドローンをはじめとする無人航空機は「空の産業革命」とも言われ,既に空撮,農薬散布,測量,インフラの点検等に広く利用されています。今後は,都市部を含む物流や警備への活用等,さらなる活用の拡大が期待され,社会が抱える様々な課題を解決に導くことで,産業,経済,社会に変革をもたらすことが期待されています.

 無人航空機の飛行の安全を確保しつつ,そのさらなる活用の拡大を図るため,航空法が改正され,機体の安全性を国が認証する制度(型式認証・機体認証)を創設し,このための検査は国土交通省が登録した無人航空機登録検査機関(登録検査機関)が実施できることとなりました.

 公益社団法人無人機研究開発機構(JUVA)は,国土交通省より登録検査機関として,機体の安全性認証のための検査を実施することが認められました.
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 登録検査機関による型式認証・機体認証の検査の概要

(1)型式認証・機体認証の検査にかかる制度の概要
 機体認証は,無人航空機の強度,構造及び性能について,設計,製造過程及び現状が安全基準に適合するか検査し,安全性を確保するための認証制度です.

 型式認証は,主に量産機を対象とした制度であり,型式(モデル)毎に無人航空機の強度,構造及び性能について,設計及び製造過程が安全基準及び均一性基準に適合するか検査し,安全性と均一性を確保するための認証制度です.型式認証を受けた型式の無人航空機については,機体毎に行う機体認証の検査の全部又は一部が省略されます.

 型式認証・機体認証は,第三者上空の飛行の可否に応じて下図のとおり第一種と第二種に分類されます.このうち,第二種型式認証・機体認証については登録検査機関による検査が可能となります(第一種型式認証・機体認証は国が検査).


型式認証・機体認証の区分対象となる無人航空機有効期間
第一種型式認証・機体認証第三者上空を飛行可能な無人航空機第一種型式認証:3年
第一種機体認証:1年
第二種型式認証・機体認証第三者の立入りを管理する措置を講じたうえで飛行させる無人航空機(第三者上空の飛行不可)第二種型式認証:3年
第二種機体認証:3年

型式認証・機体認証の制度概要(検査の順序)
  • 1.型式認証の検査:無人航空機の型式(モデル)毎に安全基準・均一性基準への適合性を検査
  • 2.機体認証の新規検査:1機毎の無人航空機の安全基準への適合性を検査
    (型式認証を受けた型式の無人航空機は検査の全部又は一部を省略)
  • 3.機体認証の更新検査:1機毎の無人航空機の安全基準への適合性を検査
    (第一種機体認証は1年毎/第二種機体認証は3年毎)

(2)本機構(登録検査機関)による検査事務の能力・種類・範囲
本機構が登録検査機関として国土交通省から認められた検査事務の能力・種類・範囲は以下のとおりです.

検査事務の能力検査事務の種類検査事務の種類
型式認証の検査の能力無人航空機の第二種型式認証に関する検査飛行機
回転翼航空機(ヘリコプター)
回転翼航空機(マルチローター)
機体認証の検査の能力型式認証を受けた型式の無人航空機に対する第二種機体認証に関する検査(現状の検査は書面検査のみ)飛行機
回転翼航空機(ヘリコプター)
回転翼航空機(マルチローター)
具体的には,以下に掲げる検査事務を対象とします.これらに該当しない検査事務については本機構では対応できませんのでご注意願います.

(a)第二種型式認証の検査の能力
 ① 第二種型式認証の新規検査
 ② 第二種型式認証の更新検査
 ③ 第二種型式認証を受けた型式の無人航空機の設計又は製造過程の変更の承認の検査

(b)第二種機体認証の検査の能力
 ① 第二種機体認証の新規検査
  (i) 型式認証を受けた型式の無人航空機(航空の用に供していない無人航空機)
  (ii) 型式認証を受けた型式の無人航空機(航空の用に供した無人航空機):設計者等による整備等が実施されたものに限る。
 ② 第二種機体認証の更新検査:設計者等による整備等が実施されたものに限る。